校長ブログ
高校 卒業証書授与式
今日は、卒業証書授与式が行われました。
曇り空でしたが、卒業生はみな、晴れやかな表情で、門出のときを迎えました。
これからこそ、千葉明徳の卒業生としての矜持を胸に、「行動する哲人」として歩んでいってください。
《式辞》
日に日に日差しの暖かさが増し、春の訪れを感じる季節となりました。
本日ここに、多くのご来賓の皆様方にご臨席を賜り、第76回 卒業証書授与式を挙行できますことは、大きな喜びでございます。
ただ今、呼名された371名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして、本日、ご列席の保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業を、心からお祝い申し上げます。(礼)皆さんは、千葉明徳高校、一〇一年目の卒業生となります。
さて皆さんが入学した三年前、ChatGPTなどの生成AIが急速な普及をみせ、この三年の間に一気に私たちの生活に浸透しました。また三年前には、長引いたコロナも5類に引き下げられ、コロナ後の新しい日常をスタートさせました。
世界情勢では、ロシアによるウクライナ侵攻が膠着する中、イスラエルのガザ侵攻が開始され、世界の大国による「力の論理」が一層懸念されることになりました。
一方国内では、二〇二四年元日の能登の大地震など大きな災害に見舞われ、多くの方々が犠牲となり、また被害に遭われた方々の苦労を目の当たりにしてきました。
そうした中にあって明るい話題として、坂口志文氏や北川進氏のノーベル賞の受賞、また大谷翔平選手などの若い世代の活躍が話題となりました。二〇二四年のパリオリンピック・パラリンピック、つい先日まで開催されていたミラノ・コルティナオリンピックでは、多くの日本人選手が活躍し、日本の明るい未来を感じさせられました。また日本の歴史上初めての女性総理大臣として高市早苗氏が就任したことは、変わりゆく日本社会を象徴する出来事だと思います。
さて皆さんが入学した三年前は、ようやくコロナが収まり、千葉明徳高等学校も、新たな学校生活のあり方を模索しはじめた年でした。皆さんにとって、中学校生活がコロナで思うように行かなかった分、高校生活は新しいことにチャレンジしようと希望をもって入学したことと思います。とくに学校行事は、皆さんにとって充実したもの、思い出に残るものになるよう、先生たちも思い入れをもって臨みました。
入学してすぐの遠足は、それぞれコースごとに大学や研究所、お台場や八景島などに出かけることができました。天気に恵まれたなかで、クラスの親睦を図ることができたことでしょう。これで高校生活も軌道に乗ったのではないでしょうか。
二年次の研修旅行では、明徳としても五年ぶりの海外の研修旅行を復活させました。一貫コースはハワイに出かけ、ハワイ島の独自の生態系に触れることができ、またハワイ大学での学生交流や、英語での研究発表をおこないました。また特進や進学、ASコースは、シンガポール・マレーシアに行き、現地での学校交流やホームビジットで異文化体験をしました。またシンガポールの発展の様子を目の当たりにすることができたことでしょう。
文化祭は、それぞれの学年で最も力が入った行事だったのではないでしょうか? 昨年度から「明徳祭」と名称を変更し、生徒会が中心となって、より千葉明徳中高が一体となって企画運営が進められました。
とくに今年度の明徳祭は台風に見舞われてしまいましたが、二日目は「明徳祭日和」といえる晴天に恵まれて、これまでにないほどのたくさんのお客様に来場していただきました。テーマである「青春フェスティバル」の様子がよく表されていて、クラス一体となって、企画をやり終えた達成感と喜びを感じたことでしょう。
そして体育祭です。今年度は千葉ポートアリーナでの開催となりましたが、たいへん白熱した闘いぶりをみせてくれました。三年生はとくに、千葉明徳伝統の盆踊りで、みな浴衣姿で踊ったことが思い返されます。高校生活最後の学校行事ということで、思い出に残る体育祭だったことでしょう。
そして皆さんは今日この日を迎え、希望に満ちて新しいステージへと歩んでいきます。高校時代の三年間は、これからの人生にとってかけがえのない礎となることでしょう。そしてこれからの皆さんはぜひ、千葉明徳の理念である「明徳を明らかにする人」、つまり、「行動する哲人」であってほしいと願っています。
「行動する哲人」とは、フェイクや閉鎖的な言葉がまかり通る世の中にあっても、あふれる情報を注意深く観察して判断し、自己を形成し、他者とのかかわりを築いていく人のことです。知識や情報を獲得していくことは、決して孤立した行為ではありません。それは、自らを成長させ、他者とのつながりを築く社会的な営みです。
SNSなどでは、異質な他者との共感が難しい時代にあります。十九世紀の著名な思想家で、リベラリストであるジョン・ステュアート・ミルは、その著書『自由論』で、「自分の主張しか知らない者は、実はそのことについてもほとんど知らない」と述べています。つまり、「自らの主張を押し通すことは、自分のことすら知らない」ということです。
「言論の自由」を擁護するミルは、自分と反対意見で、たとえそれが誤りであったとしても、それとあえて「対立」することによって、自分の意見は生きたものとなる。そこではじめて、もっとも強いかたちで、他者への「理解」にいたる、と述べています。
それは反対意見を論破することではなく、相手の世界観や、相手がそれを信じる理由を「理解」するということを意味します。このことを通しての他者への「共感」とは、感情的な同情ではなく、他者を自分のことのように感じる、ということです。他者の人生や物語に触れることは、自分自身の人生を二重、三重に豊かにしてくれる、と言っています。
自分のアイデンティティや物語を強固なものにするため、あえて異なる他者に触れる。他者の視点というフィルターを通すことで、自分の物語の輪郭がより鮮明になり、独りよがりではない「開かれた」アイデンティティへと成熟していくものと確信しています。
卒業する皆さんは、これからもまわりの人との関係を築いていってください。そしてこれまでに学んだ深い教養と積み重ねてきた経験にもとづいて、社会に出まわる情報を判断し、適切な情報の発信者となり、自分の意見や主張を社会で共有できる人になってください。それを実現できる人が、「行動する哲人」といえるでしょう。
それでは、皆さんにとって幸多き未来であることをお祈りいたします。
令和八年三月二日
学校法人千葉明徳学園
千葉明徳高等学校
校長 宮下 和彦

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