校長ブログ
第75回卒業証書授与式
春の陽ざしが暖かい今日この日に、千葉明徳高等学校の第75回卒業証書授与式が挙行されました。
今年は、千葉明徳学園開校からちょうど100年となる節目の卒業式となりました。
式の終盤、卒業生代表による答辞や卒業の歌では、これまでの3年間ないし6年間のことが思い出されて感極まる場面もありました。
卒業生360名は、来賓や保護者の皆様、教職員にあたたかく見送られて巣立って行きました。
《式辞》
日に日に陽ざしの暖かさが増し、春の訪れを感じる季節となりました。
本日ここに、多くのご来賓の皆様方にご臨席を賜り、第75回 卒業証書授与式を挙行できますことは、大きな喜びでございます。
ただ今、呼名された360名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして、本日、ご列席の保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業を、心からお祝い申し上げます。皆さんは、千葉明徳学園が一〇〇周年を迎える記念すべき年に巣立っていくことになります。 さて卒業生の皆さんが入学してからの三年間を振り返ると、2022年の入学の頃は、コロナの影響が色濃く残る中にあり、そして世界情勢では、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界が不安定な状況に置かれました。2023年には、イスラエルのガザ侵攻が開始され、悲惨な出来事が続きました。長引くコロナの影響は、2023年にようやく5類に引き下げられ、コロナ後の様子が見え始めました。
ICT技術では、2022年の後半頃から生成AIが急速に普及し、人工知能が人間の知能を超えるシンギュラリティが間近に迫っていることを実感させられました。また自動車の自動運転化の実用化が進み、さらにJAXAやアメ
リカの民間企業による開発で月面着陸が間近であることを感じさせられました。そして、大リーグの大谷翔平選手や将棋の藤井聡太七冠の活躍、またパリ・オリンピックやパラリンピックでの日本人選手たちの活躍は、私たちに大きな希望をもたらしてくれました。
思い返せば、皆さんが入学した三年前はコロナの影響で、学校生活も制限のある中で行われましたが、コロナが5類に引き下げられたのに応じて、新しいかたちでの日常を取り戻そうということで、学校行事なども徐々に元のかたちに近づけて実施されました。
二年次の研修旅行は、海外に行くことができませんでしたが、中高一貫コースは中3の修学旅行が中止となって行くことができなかった、京都・大阪に出かけ、日本の伝統文化にひたり、清水寺や伏見稲荷、またユニバーサル・スタジオ・ジャパンを訪れることができ、また留学生向けに探究活動の発表を英語で行うことができました。
特進コースや進学コース、アスリート進学コースは沖縄に行き、平和祈念公園を訪問して戦争の悲惨さを学び、また沖縄の自然を体感してビーチでの体験などに取り組みました。中学校ではコロナで修学旅行に行けなかった分、宿泊
をともなう研修旅行は思い出深いものになったのではないでしょうか。
文化祭では、今年度から「明徳祭」と名称をかえ、中高で融合した企画運営となりました。メインテーマ「遊園地化」の下、遊び心に満ちた企画が並びました。何日も前から、各教室で多くの生徒が放課後遅くまで準備に余念がありませんでした。オープニングのCMコンテストは、クラスごとの特徴がよく表現され、工夫を凝らした演出を見ることができました。三年生のクラス企画は、「アメリカンダイナー」、「Love&Piece」、「S・パーク」、「こわーいお化け屋敷」、「的あて」、「明徳ニイクラランド」、「走れチュロス」、「たこたこ」、「39POP」、「縁日」、「タンフルパラダイス」と、それぞれ質の高い内容で大変充実したものでした。クラスのチームワークも一段と深まったことと思います。
三年生の体育祭では、午前中だけの開催でしたが、それでも一人ひとりがみな一生懸命に取り組んでいた姿をうかがうことができました。そのことは、競技に参加していた人たちの真剣な取り組みの様子とともに、応援していた人たちの熱のこもった声援にも見てとることができました。そして三年生はとくに、明徳伝統の盆踊りで、みな浴衣姿で踊ったことが思い起こされます。三年次の体育祭はとくに、高校生活最後の大きな学校行事ということで、大事な思い出になったことと思います。
そして皆さんは今日この日を迎え、希望に満ちて新しいステージへと歩んでいきます。高校時代の三年間が、これからの人生にとって大きな糧となることでしょう。そしてこれからの皆さんはぜひ、千葉明徳の理念である「明徳を明らかにする人」、つまり、「行動する哲人」であってほしいと願っています。「行動する哲人」とは、ここで皆さんにあらためて言うまでもなく、「自らの力で世の中を切り開いていく人」のことです。混沌とした世の中にあってこそ、そのような力が求められることと思います。
現代社会においては、SNSなどネットでつながるグループのあり方が、閉鎖的な「村」組織であるのに反して、外に開かれた公共性こそがまさに求められます。公共のあり方について、評論家の宇野常寛氏は「庭(ガーデン)」という概念を提起しています。「庭」とは、人間が、人間以外の生き物や事物と関係性を築く、エコロジカルなコミュニケーション空間です。そこには、外部に開かれた豊かな生態系が存在します。「庭」は、私的(プライベート)なものと、公的(パブリック)なものとの中間的な性質を帯びています。そして「庭」は、自然と人間が共存することによる、新しい可能性を秘めています。
そこで私たちが、「庭」において第1になすべきことは、豊かな自然に向き合いつつ、自分の内なる声に耳を傾ける孤高な時間を持つことです。「行動する哲人」とは、社会の喧騒に流されることなく、豊かな自然に包まれて、自分自身の内なる声を大事にし、それを深めることで物事の見識を高める人のことです。
「庭」において第2になすべきことは、まわりの事物とのコミュニケーションをとるということです。人間は、「庭」を完全に支配することはなく、部分的に関わることしかできません。「行動する哲人」は自分の視点に固執せず、異質なものを受け入れ、新たな世界に心を開く人のことです。
そして「庭」において第3になすべきことは、「庭」での新たな出会いをとおして、これまでに気づかれなかった全く新しい知恵を生み出すことです。「行動する哲人」とは、環境や自然に適応してまわりの環境を尊重しつつ、自分からも働きかけることによって、持続可能な新しい変化をもたらす人のことです。
卒業する皆さんは、これまでに学んだ深い教養や経験にもとづいて、自分の内なる声をしっかり受け止めて歩んで行ってください。そして、新たな世界で新しい関係性を築くことで、その先、さらなるステップアップを目指してください。
皆さんにとって幸多き未来であることをお祈りいたします。
令和七年三月一日
学校法人千葉明徳学園
千葉明徳高等学校
校長 宮下 和彦



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