学校生活
2学期終業式
12月23日、2学期終業式を迎えました。今回は新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、放送での実施となりました。
<校長講話>
皆さんおはようございます。2022年は、皆さん一人ひとりにとってどんな1年だったでしょうか。
最近の話題から振り返って見ると、つい先日までサッカーワールドカップカタール大会が行われていました。決勝では、メッシ選手を中心とするアルゼンチンが前回優勝のフランスを破り、36年振りの優勝を果たしました。そして、この大会では皆さんも応援に力が入ったと思いますが、日本も頑張りました。グループリーグでは、強豪ドイツ・スペインを破り、トップで決勝トーナメントに進出し、ベスト4に進出したクロアチアにPK戦で惜しくも破れてしまいました。まさに『ブラボー』な結果となりました。皆さんの中にも真夜中に起き出して観戦した人も多かったのではないでしょうか。私自身も連日寝不足が続きました。改めて、サッカーという一つのスポーツには、人種や国境を超えて人々を熱狂させるすごい力があることを感じました。
そんな話題もあった一方で、これまでも何度も皆さんに話してきたロシアによるウクライナ侵攻は、2月に始まり、すでに10ヶ月が過ぎようとしています。先ほどのワールドカップの決勝に合わせて、ウクライナのゼレンスキー大統領が世界に向けてこう呼びかけました。『今回のワールドカップは、国や国籍が違ってもフェアプレーで、勝敗を決めている。そして、その中で多くの人に希望と感動を与えている。』『しかし、侵略戦争というものは、多くの人の命、多くの人の希望を奪い取り、廃墟と化した街を残していく。世界の皆さん、平和を取り戻す私たちの闘いに力を貸して頂きたい』と呼びかけました。
もう一度、皆さんに言います。戦争とは、改めて、多くの人の人生そのものを強引に変えてしまう、多くの理不尽さを秘めていることをしっかり胸に刻んでおいて下さい。そして、皆さんには、このウクライナで起こっていいる現実から目を背けることなく、自分の意見、考えを持ち、自分に出来ることを探してみて欲しいと心から期待しています。
もう一つ、私が気になった大きな出来事がありました。それは、今年度のノーベル賞に輝いたスウェーデンのスバンテ・ペーボさんの研究でした。その研究は、まさに人類史の定説を大きく変えてしまうものでした。
今から250万年前、この地球上には、7種類の人類の祖先がいたといわれています。その中でホモ・サピエンスが他の人類を滅ぼし繁栄してきたというのが定説でした。ホモ・サピエンスが唯一生き残ってきた理由は、集団で狩りをする能力があったこと、つまり思考力をもった人類だったということでした。そこでこれまで教科書では、この地球上のすべての人類の祖先は、すべてホモ・サピエンスであるとされてきました。
ところが、今回のノーベル賞のぺーボさんの研究は、なんと古代の人類のDNAを復元するという衝撃的な新技術を発明しました。その技術を使ってアフリカ以外のホモ・サピエンスのDNAを分析してみると、なんと日本人を含むすべての現代人に数パーセント、ネアンデルタール人のDNA含まれていることが判明しました。つまりは、ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスによって滅ぼされたのではなく、ホモ・サピエンスと交配していたという事実が分かってきてしまったのでした。皆さんは、交配って解りますか、簡単に言うと恋をして結婚をして、子孫が生れていたということです。
このことから皆さんに知っておいて欲しいことは、今、私たちが常識や定説としていることも、今後の研究や実験などによって、実は、全く変わってしまう可能性を充分に秘めているということです。そして、将来、その常識や定説を変えていくのは、皆さん自身である可能性も充分にあるということを胸に刻んでおいて下さい。
さて、千葉明徳のこの2学期を振り返ってみます。2学期が始まり9月3週目には、明高祭を実施することが出来ました。明高祭は、本格的な形での実施は三年ぶりで、準備期間も含め、学内には生き生きと躍動する皆さんの姿を見ることが出来ました。段ボールや絵の具・マジック・角材など、いわゆる文化祭ならではの臭いに包まれた校内には、文化祭への高揚感と期待感が溢れていました。
さらに、10月に入っての体育祭、午前中だけのプログラムでしたが、生徒の皆さんは、自己の持てる最高のパフォーマンスを発揮していました。クラス対抗リレーや部活動対抗リレーなど、久しぶりに学校全体がグラウンドに集中して高揚する体育祭ならではの醍醐味を見ることが出来ました。まさに明徳の体育祭も『ブラボー』でした。
以上、2学期を振り返ってみると、コロナ禍でも各学校行事がほぼ予定通り出来たこと、本当に嬉しく思っています。そして、各行事の中で生き生きと躍動する皆さんの姿に、改めて学校生活における行事の大切さを感じることが出来ました。今後も、千葉明徳は、授業を通して様々なことを学ぶと共に学校行事も大切にしながら、皆さんの成長を応援していく学校でありたいと思っています。
それでは、様々なことがあった2022年も、あと数日で新たな年を迎えます。三年生の中で、特にこれから一般受験で進路を切り拓いて行こうとしている皆さんに心から激励のエールを贈ります。全力で頑張れば、必ず道は開けます。
そして、コロナ禍の不安な日々は、もう少し続いていきます。しかし、ずっと言い続けていますが、出口は必ずあります。このコロナ禍が収束して、さらに前向きな学校生活が一日も早く実現することを信じ、共に頑張っていきましょう。
それでは、来るべき2023年、皆さんにとっても、千葉明徳にとっても最高の年になることを願い、私からのお話とします。
皆さん、良いお年をお迎え下さい。
千葉明徳中学校・高等学校 校長 園 部 茂