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学校生活

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3学期始業式

投稿日2023/1/7

1月7日(土)に始業式を迎え、新たな年の学校生活が幕を開けました。
実は教室がリニューアルしています!どこが変わったかというと、教室の要とも言える「黒板」です。これまでもプロジェクターやスクリーンはありましたが、冬休み中に最新のプロジェクターとホワイトボードに生まれ変わりました。スピーカーも付いています。

2023年、学習環境もさらにパワーアップした千葉明徳。『思考する学び』をより深めていきます!

<校長講話>
新年、明けましておめでとうございます。
この冬休み中も新型コロナウイルスの感染拡大・インフルエンザの同時流行が進み、今後も多くの制限と制約の中での学校生活となります。日々の健康観察やマスクの着用・手洗いなどの感染防止対策をしっかり行いながら、3学期の学校生活を過ごしていくようにして欲しいと思います。
そのような中で今日は新年のスタートにあたり、2つのことをお話しします。

1つ目の話題です。唐突ですが、皆さんへ「農家になってみませんか」という勧めです。年末年始にかけて、我が家に孫達がやってきました。車で市原市の自宅から、鴨川市に出かけることになりました。一般道を走っていくと、気が付いたのは耕作されてない田んぼや畑が目立つことでした。さらには、あちこちに竹が生い茂り、竹に占領されてしまった住宅や畑も数多く見受けられました。私は、以前、千葉銀行総合研究所の方の講演を聴く機会がありました。そのとき、アクアラインから続く圏央道の南側では、2040年頃になると限界集落になる地域が数多く存在してくるという話しを聴きました。住む人がいなくなれば、当然、田んぼや畑は作れません。田んぼや畑は、食糧を生産するだけに止まらず、国土を守っていくためにも重要な役割を担っています。まず、田んぼは、ダムの役割をして、その地域を洪水から守っています。畑も同様に雨が降れば、多くの水がしみ込み、更には野生動物との棲み分けといあう役割もしてきました。ところが、最近は房総半島の南の地域に生息していた猿や鹿、猪などの野生動物が北へ北へと生息域を拡げてきています。

そんな現状を目の当たりにして、私は、今こそ若い力の出番だと思いました。今、過疎化が進む地域では、未経験でも若い農家のなり手を大歓迎しています。正直、農業は、自然が相手の大変な仕事です。しかし、自分自身で計画して、自分のペースで仕事の規模を大きくしたり、変更したりすることもできます。いまや農業は、自分自身が経営者になれる可能性を秘めた夢のある格好いい職業です。不確実で夢を持つことがなかなか難しい時代、今日の私の話から、皆さんの中で一人でも未来の農業後継者が誕生してくれることを心から願っています。もし、興味がある人は、校長室のドアをノックしてみてください。いくらでも相談に乗ります。

2つ目の話題です。毎年、朝日新聞社が主催している「朝日地球会議」というイベントがあります。昨年も10月16日から4日間に亘って行われ、様々な分野の方々が登場し、パネルディスカッションや講演という形で進んでいきます。

そのプレゼンターのお1人に落合 陽一さんという方がいました。彼は、30代ですが、筑波大学や大阪芸大など多くの大学で教鞭を執っている方です。落合氏は、科学者でもあり、経営者でもあり、ときには写真家でもある多彩な人物です。その講演で、落合氏は私たちにドラマチックな実験映像を見せてくれました。マイナス196度の液体窒素という物質で電磁石を冷やしていくと、強力な磁界が生まれます。そして、なんとその強力な磁界の上に金属が浮くという実験でした。

実は、この原理が今、リニア中央新幹線で実用化されようとしています。リニアモーターカーは、マイナス269度の液体ヘリウムを使って強力な電磁石を作り、線路の上に電車を浮かせて走らせるという原理です。今までの新幹線では、タイヤと線路の間に摩擦が起こり、東京・新大阪間は、2時間20分が限界でした。しかし、リニア中央新幹線では、摩擦がなくなり、時速500キロを達成することができます。2027年開業予定の東京・名古屋間が40分、2045年開業予定の東京・大阪間は、これまでの半分以下の1時間7分で結ばれることになります。これは、ほんの一例で、落合氏の講演では、これからの社会はAI等の開発が劇的に進み、予想をはるかに超える速さで変わっていくという内容でした。

講演が終わり、質問の時間になったときに、1人の高校生が、落合氏にこんな質問をしました。「今、私たちの周りは、グローバル化ということが叫ばれていますが、私たちはこれから具体的にどんな力を身につけていけばいいのしょうか?」
その質問に落合氏は、こう答えました。「まず、あなたの住んでいる地元の歴史や文化を徹底的に調べ、その内容を400字程度にまとめる力をつけてください。そして、その内容を英語でプレゼンテーションできるようにしてください」

落合氏の言いたかったことを私なりにもう少し解説してみます。これからの世の中は、予測をはるかに超える速さで変化していく、だからまず自分のこと、自分の身の周りのことを知ること、学ぶことが必要である、そして、学ぶだけに止まらず、その内容を自分の言葉で伝える力が必要である、さらに、世界で活躍していける力を身につけるためには、その内容を英語で表現できる力を身につけるべきである、ということだったのだと思いました。

今、千葉明徳は『思考する学び』という学びの形を目指しています。勉強すること、学ぶことの大きな意味は、将来に向けて、自分の人生を力強く生きるための力を身につけることだということを年頭にあたり、心に刻んでおいて欲しいと願っています。

3学期は3年生の皆さんにとって課題研究論文のまとめのときであり、いよいよ正念場です。そして、1・2年生の皆さんにとっては、次の学年へしっかり進級していく決意のときです。それぞれの頑張りを心から期待しています。
結びにあたり、2023年という1年が、皆さん1人ひとりにとって、そして千葉明徳にとっても最高の1年になることを心から願い、新年にあたっての話とします。

千葉明徳中学校・高等学校
校長 園 部  茂